ことば

 
 「鐸 声」
浄土宗新聞 令和3年7月号より転記 
 ◆ある檀家さんからヽ電話がかかってきた。「大家をつとめる築60年のアパートを解体するので。敷地に祀られているお地蔵さんを引き取ってくれないか」という。私は「これは、仏縁」と思い、すぐに車を飛ばして迎えにいった。
 ◆花こう岩でできたお地蔵さんはズシリと重く、風化していた。郷土史家によれば鎌倉時代のものだという。木造仏であれば文化財指定クラスだが、地域にはこうした石仏があちこちに祀られている。
 ◆お盆の時期、お地蔵さんを子どもだちが囲んで、数珠繰りなどをして過ごす地蔵盆の風習も地域には残る。路傍の石仏が、時代を超えてあまたの仏縁をつないできたと思えば、しみじみ感じ入ってしまう。
◆かくしてお地蔵さんは、小刹の仲間入りをした。苔庭の、日当たりのよい場所に座っていただき、小さな花立てと、ろうそく立ても備えた。季節の花を生けて供え、手を合わせると不思議と「表情」がでるものだ。これをきっかけに、この檀家さんとは以前にも増して縁が深まった。きっとお地蔵さんが、「引き寄せて」くれたのだ。間もなくお盆の季節を迎える。
 
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